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「ChatGPT」取引戦略の信頼性について

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暗号資産の取引は、スキル、知識や経験を必要とするダイナミックかつ複雑なアクティビティです。インターネットと高度な技術の台頭と共に、取引における競争は熾烈になっています。多くのトレーダーはアルゴリズム取引やAIの取引ボットを信頼しており、優位に立って業績を上げようと利用しています。これらのシステムは数学的な法則、データ分析や機械学習を使用し、取引シグナルを生成して実行します。トレーダーのミスを削減し、時間の節約や利益の最大化、またポートフォリオの多様化に役立っています。 

AIを利用した取引には、そのスピード、データ処理の正確性、市場の変化への素早い対応などの秀逸な特徴があり、さらに、AIは失敗から学ぶこともできます。しかし、すべてのAI取引システムが、等しく信頼できる有益なシステムである、というわけではありません。最近で最も革新的なAIシステムといえば、対話を基に取引戦略を生成する自然言語処理（NLP）モデルの「ChatGPT」です。それでは、「ChatGPT」の取引戦略はどのくらい信頼できるのでしょうか？ 

その答えは、以下の記事にあります。「ChatGPT」の取引戦略に興味のある方は必見です。

この記事のポイント：

  • 「ChatGPT」は革新的なチャットボットで、チャットでの対話を基に取引戦略を作成できます。「ChatGPT」の機能では取引を行うことはできませんが、「ChatGPT」の提案から着想を得たり、データの分析や戦略のバックテストを行ったり、取引戦略のコードも生成できます。

  • 「ChatGPT」の取引戦略の信頼性は、データの品質やプロンプト（ChatGPTに対する指示のこと）の明瞭さなどの要素に左右されます。実際の取引で使用する前に、生成された戦略を綿密にテストする必要があります。

「AI取引」とは？

AI取引とは自動取引のことで、データの分析、取引シグナルの生成、取引の実行のためにArtificial Intelligence（人口知能）（AI）を使用します。AI取引システムでは、人間のトレーダーを上回るスピードと頻度で、取引に関する決断を下すことが可能です。膨大な量のデータを処理することで、AIは効率的に取引を識別して実行します。人が取引を行う際に影響する、感情的な偏見に左右されることもありません。

アルゴリズム取引はAI取引のひとつで、テクニカル指標、価格推移や市場トレンドなどの要因に基づき、事前に定義された数学的な法則や公式を使用します。「ルール」に基づいて動作するため、ルールベースまたはブラックボックス取引と呼ばれています。 

その他のAI取引は、機械学習を使用し、明示的にプログラムすることなく、データの分析、取引パターンの特定や値動きの予想を自己学習するアルゴリズムが組み込まれています。このタイプの取引は、データドリブンまたはホワイトボックス取引としても知られています。

「ChatGPT」取引戦略とは？

「ChatGPT」の取引戦略は、「ChatGPT」の機能を使って生成された自動取引戦略です。「ChatGPT」自身が独立して取引を行えるわけではありませんが、アイデアを提案し、データの分析やバックテストを行ってくれるので、取引戦略を調整する一助となります。

「ChatGPT」はAIのチャットボットで、対話によるプロンプトに対し、NLPを使用して返答します。「ChatGPT」を開発したOpenAIは、AIの研究と開発を行う企業です。最初に「ChatGPT-3」を発表し、現在は、利用可能な最先端のNLPモデルと言われる「ChatGPT-4」を公開しています。「ChatGPT-4」のご利用は、有料版「ChatGPT Plus」へのご加入が必要です。

文章を書いたり、プログラムのコードを作成したり、「ChatGPT」は様々な用途に使えます。そのアプリケーションで取引戦略を生成するというのは、非常に興味深いことです。トレーダーの目的、好み、リスク許容度や市況を考慮し、「ChatGPT」はカスタマイズされた戦略を提案してくれます。

「ChatGPT」で取引できますか？

「ChatGPT」は取引を実行するプラットフォームでもブローカーでもないため、実際の取引を行うことはできません。「ChatGPT」はトレーダーの代理で取引をしてくれるわけではありませんが、どのように取引するかの手引きとなり、取引において意思決定を行うスキルを強化してくれます。ブローカーのアカウントから取引を自動で実行できるAI取引ボットというわけではありません。むしろ、バーチャルアシスタントとして機能し、各トレーダーに合わせた取引アイデアを提案してくれます。

「ChatGPT」を取引で使用するにはツールが必要ですか？

「ChatGPT」を取引に使用する場合、生成された取引戦略を実行するためには、他のツールも必要です。Bybit.などの取引プラットフォームへのアクセスも、他のツールの1つと言えるでしょう。また、過去および現在の市場データを得るため、データプロバイダーも必要です。APIやWebスクレイピング、またはオンラインデータベースを使用して、必要なデータを取得することができます。

また、「ChatGPT」が生成したコードを実行するためには、「ChatGPT Plus」で提供されている「Code Interpreter」も必要です。Google Colab (Colaboratory)、Replit、またはCodePenなどのオンラインツールを使用すれば、お使いのブラウザでもコードを実行できます。TradingViewやBacktraderをバックテストのツールとして使用し、過去のデータを使って、「ChatGPT」が提案した取引戦略の成果を評価することも可能です。

最後に、リスク管理ツールも必要です。Myfxbook、Trading Journal Spreadsheet、またはTradeBenchなどのリスク管理ツールを使用すると、取引実績の把握やリスク管理に役立ち、エクスポージャーを管理して自己資金を守ることができます。

AI取引 vs. アルゴリズム取引

同じようによく利用されていますが、AI取引とアルゴリズム取引は同じものではありません。ほとんどの場合、アルゴリズム取引は、事前に定義された数学的な法則や公式に則って、取引シグナルを生成して実行します。一方、AI取引には、機械学習やAIの利用も含んでおり、もっと幅広い定義で捉えることができます。AIはシステムに適応してデータを分析し、取引パターンを検知して値動きの予想を行い、明示的にプログラムする必要はありません。

AI取引とアルゴリズム取引の主だった違いは、AI取引はデータから学び、時と共に機能が向上しますが、アルゴリズム取引の場合は、手動で更新されない限り、決められたルールに従うところです。さらに、AI取引は、市況の変化や不測の事態など、より複雑でダイナミックな状況にも対応できます。

しかし、AI取引を理解し、分析して信頼することは、アルゴリズム取引を理解し、信頼するより難しいでしょう。また、AI取引は、エラー、偏りや過学習の傾向が強く、より多くのデータ、計算能力やメンテナンスが必要です。

「ChatGPT」を使用した暗号資産デイトレード戦略の作り方

暗号資産のデイトレード戦略を生成するには、データを集め、実際の取引の前に戦略を練り、バックテストを実行して集めたデータを分析する必要があります。「ChatGPT」を使って、モメンタム取引戦略を作成してみます。次のプロンプトを使って、戦略を考えてみましょう。

プロンプト1

「ChatGPT」との会話を開始し、成果のあったモメンタムデイ トレード戦略のリストの生成を指示します。作成されたリストには、モメンタム戦略の生成に使用されるMAクロスオーバー、MACDや、RSIなどの指標が含まれています。

プロンプト2

価格データを集め、「ChatGPT-4」の「Code Interpreter」にそのデータをアップロードします。「ChatGPT」との会話を開始し、MACDシグナルに基づき、リスクとリターンの比率が1対3、最終的なリターンが20％以上の条件で、モメンタムデイ トレード戦略の作成を指示します。これで戦略の一例ができあがります。または、新しい戦略として利用できるまで、AIを使用して、繰り返し何度も試してみましょう。「ChatGPT」は自動的に戦略のバックテストを行い、結果を評価してくれます。

プロンプト3

取引戦略の要は、リスク管理です。「ChatGPT」は、トレーダーに合わせた損切りレベルを提案してくれます。

プロンプト4

ご利用の取引プラットフォームで取引戦略を実行するために、「ChatGPT」で生成できるコードが役立ちます。しかし、エラー処理や注文の追跡など、自動の取引ボットを使用する場合に必要なすべてのコードが含まれているとは限りません。実際の取引で使用する前に、必ずコードをテストして調整する必要があります。 

詳細はこちら：利益を最大化するために、BybitのAI取引ボットをご紹介

プロンプト5

「ChatGPT」を使用する場合、反復型プロセスが必要です。より良い取引戦略を作成するために、前の手順を繰り返し何度も試してみましょう。

取引に「ChatGPT」を使用する利点

  • アイデアの考案：トレーダーの目的、好み、リスク許容度や市況に基づいた取引アイデアや戦略を生成します。

  • コードの生成：様々なツールやプラットフォームで実行またはテストできるコードを即時に生成し、時間と労力を節約できます。

  • 分析とバックテスト：「ChatGPT」の多様な提案から、今まで思いつかなかった異なる可能性や戦略を発見でき、トレーダーの創造性を刺激し、新たな価値を生み出します。

  • 使いやすさ：「ChatGPT」を使用するために、統計分析を実施したり、自分でコードを書いたりする必要はありません。 

取引に「ChatGPT」を使用する場合の制限

  • サポート役でのみ利用：「ChatGPT」は取引戦略を提案し、コードを生成して実行、テストすることはできますが、トレーダーに代わって取引することはできません。

  • 不正確さと過学習：生成された取引戦略は、常に正確で、信頼でき、利益につながるとは限りません。「ChatGPT」の持つ確率的な性質により、エラーや不合理な結果につながる可能性があります。データ分析を使用すると、過去のデータを過剰に最適化する場合があり、実際の取引環境では使えない戦略になる可能性があります。

  • トレーニングの制限：機械学習のトレーニングで得たデータとパラメータによっては、質問に対する「ChatGPT」の理解や返答は、限定される場合があります。

  • メモリ制限：「ChatGPT」のメモリ制限を越えないように、データのごく一部しか分析できない可能性があります。

  • バグテスト：「ChatGPT」が生成するコードは、実際の取引環境のために準備されたものではありません。実際に利用する前に詳細なテストを行う必要があります。

「ChatGPT」の取引戦略は信用できますか？

「ChatGPT」の取引戦略の効果は、様々な要因に起因します。機械学習に使用されたデータの品質、データ量、また「ChatGPT」に指示するプロンプトが明瞭であるか、特殊であるかなどにも左右されます。加えて、考慮すべき重大な要因は、「ChatGPT」が生成したコードの妥当性と堅牢性、また「ChatGPT」の取引戦略の成果と一貫性です。 

結論としては、「ChatGPT」の取引戦略が信頼できるかどうか、断定するのは難しいです。その効果は、市況、取引プランや戦略、取引される暗号資産やその他の要因によって異なります。 

「ChatGPT」の取引戦略の信頼性を評価するには、様々なツールやプラットフォームを使用して、過去と現在のデータを使い、徹底的にテストすることが一番です。とりわけ、自分で調べること（DYOR：Do Your Own Research）が常に重要です。「ChatGPT」が生成した取引戦略であるかに関わらず、どんな取引戦略も必ず投資前に分析しましょう。

「ChatGPT」を使用して取引するべきですか？

AI取引についてよく調べ、「ChatGPT」を使用して取引戦略を生成することは、刺激的で楽しい経験になるでしょう。しかし、リスクが潜んでいる可能性と、使用においては課題が残っていることを忘れてはいけません。「ChatGPT」の提案やコードを効果的に使用するには、様々なツールとプラットフォームへのアクセスが必要です。また、基本的なプログラミング、データ分析、テクニカル指標や取引の概念を理解する必要もあります。

また、「ChatGPT」の提案やコードは、不確実で制限があるということを認識することが重要です。便利である一方、常に正確で信頼でき、利益につながるとは限りません。つまり、取引に関する決断や行動は、自身の責任であるということです。「ChatGPT」の提案やコードを使用した結果、損失や損害が発生したとしても、「ChatGPT」が責任を負ってくれるわけではありません。

「ChatGPT」を使用してもしなくても、市況に応じてお客様ご自身が決断しなくてはいけません。お客様のスキル、知識、経験やリソースを考慮して、意思決定を行いましょう。慎重に賢く利用すれば、「ChatGPT」がアシストしてくれる取引は、満足のいく経験となるでしょう。しかし、深く考えず無謀な使い方をした場合は、危険な試みとなるでしょう。

おわりに

「ChatGPT」は有用なツールで、自然言語処理を活用して、トレーダーの好み、目的やリスク許容度、また、その時々の市況に基づきカスタマイズされた取引戦略を生成してくれます。異なるツールやプラットフォームで使用できるコードを即時に生成し、時間と労力を節約してくれます。さらに、「ChatGPT」は、取引戦略を検討するための無数の可能性や構想を提案して、トレーダーの創造性を刺激します。

しかし、「ChatGPT」は、すべてを解決して取引の成功を保証してくれる魔法のアイテムではありません。また、トレーダーに代わって取引してくれる、完全に自動化されたAI取引ボットでもありません。むしろ、取引戦略を提案したり、独自にコードを実行またはテストしたりする、バーチャルアシスタントとしてサポートしてくれます。 「ChatGPT」は、利益の上がる、信頼のおける戦略を常に生成してくれるわけではありませんが、トレーダーの好みを理解し、質問に対し可能な限り最良の答えを返してくれます。「ChatGPT」を取引に使用する場合は、慎重に、考えを重ねたうえで利用するようにしましょう。 

免責事項：この記事は、教育のみを目的としています。Ｂｙｂｉｔの製品やサービスを推奨するものではありません。この記事に記載されている取引戦略は、財務上のアドバイスを意図したものではありません。取引の前に専門家のアドバイスを受けることをおすすめいたします。