Bybitポートフォリオマージンと併用できるベストなオプション取引戦略
オプション取引はさまざまな市況に適用可能であることで有名です。オプション取引では投機的な目的でレバレッジの利用やヘッジができます。Bybitポートフォリオマージンをオプション取引に利用すると、複数の資産を1つのアカウントにまとめて整理できるため、リスクの低減と全体的なリターンの向上が図れます。Bybitポートフォリオマージンは複数の市場や資産クラスへの分散化を可能にし、より複雑な取引体験を生み出します。この記事では、いろいろなシナリオでBybitポートフォリオマージンを利用して取引を改善する戦略をまとめました。今すぐお読みください。
この記事のポイント：
Bybitの統合取引ポートフォリオマージン機能を利用すれば、少ない証拠金での取引が可能になり資金効率が改善します。
ポートフォリオマージンを有効にするとデリバティブポートフォリオのリスクが全体的に低減され、マーク価格や市場のボラティリティを評価することによりオプション契約のロングやショートのポジションを相殺できます。
上場オプション取引戦略（無期限スプレッド、ブルスプレッド、デルタヘッジ、ショートストラングルとロングストラングルの各戦略）はオプションの保護に有効であり、勝率の向上に貢献します。
ポートフォリオマージンとは？
ポートフォリオマージン（PM）モードはBybit統合取引アカウントの1つの機能であり、ポートフォリオ必要証拠金の最適化を目的としたものです。この機能はUSDCデリバティブアカウントで利用できます。その場合、ロングとショートの各ポジションにより、無期限契約とオプション契約を相互に相殺できます。
ポートフォリオマージンモードを有効にすると、個々のポジションではなく全体的なポートフォリオのリスクに基づいて必要証拠金がリバランスされます。システムは最新のアルゴリズムとヘッジ技術により必要証拠金を引き下げます。たとえば、ポートフォリオマージンモードをUSDCデリバティブアカウントで用いる場合を考えてみます。このとき、ロングとショート両方のポジションを無期限契約とオプション契約の両方で保有しているとすると、それらのポジションは相互に相殺できます。
詳細：効果的なリスク管理のためにBybit統合取引アカウントを利用する方法
仮想通貨オプション取引を行う理由
仮想通貨オプション取引も通常の仮想通貨取引も、さまざまな取引戦略を用いて利益の最大化が図れる点では同じですが、通常の取引商品と比べてオプション取引には複数の明確なメリットがあります。その例を以下に挙げてみます。
ヘッジ商品としての機能
オプション取引は、リスクを管理しながら市場変動から利益を得たいと考えている投資家が好む投資戦略です。たとえば、仮想通貨オプションでは、所定の期間内（所定の満期日まで）に所定の価格で資産の購入または売却ができます。
このオプションがイン・ザ・マネー（ITM）で満期を迎えたとします。その場合、原資産を実際に売買しなくても、行使価格と決済価格との差額分だけアカウント残高が増減します。
詳細：BTCに不透明感のある時期に利益を最大限に上げるための暗号資産オプションによるヘッジの方法
利益の拡大
オプション取引は、個人投資家が少ない資金で仮想通貨取引を始める入り口となります。オプション取引では、最小限の金額（リスクに基づいて算出した参入価格）で購入し、大きな金額の原資産を利用できます。それがレバレッジです。レバレッジを利用すれば、最小の投資資金で購入能力を数倍に引き上げることが可能です。つまり、レバレッジとは、原証券の価値をてこ（梃子）のように活用して投資リターンを最大化する方法です。
ポートフォリオマージンを用いたベストなオプション取引戦略
USDT-USDC仮想通貨アービトラージ戦略
仮想通貨の価格は、効率的市場仮説や価格発見機能により最大限効率的に形成されていると一般に推測されていますが、それでも流動性の欠如や市場の突発的な変動により価格の非効率性が生じる場合があります。
このようなときこそ現物無期限アービトラージ戦略の出番です。ある仮想通貨とUSDTの通貨ペアと、同じ仮想通貨とUSDCの通貨ペア、その2つの価格に食い違いがある場合は、食い違いを縮小する方向の取引を同時に実行することにより、リスクなしで確実に利益が得られます。これがアービトラージと呼ばれるものであり、ある仮想通貨とUSDTの通貨ペアと同じ仮想通貨とUSDCの通貨ペアとの価格に食い違いがある場合にそれを活用する手法です。
わかりやすくするために、仮定のシナリオで考えてみましょう。
シナリオ：
ビットコイン（BTC）について、BTC/USDCとBTC/USDTという2つの通貨ペアの間に価格の食い違いがあることを発見したため、BTCの現物価格に基づいてアービトラージ取引を行うことにしました。BTCの現物価格は現在30,000ドルだとします。また、現物市場での各通貨ペアの現在価格はBTCUSDTが30,020ドル、BTCUSDCが30,027ドルとします。
取引戦略：
まず、1 BTCを30,020 USDTで購入します。次に、その1 BTCを30,027 USDCで売却してポジションを解消し、直ちに取引を終了します。USDCとUSDTの名目価額がどちらも1ドルだとすれば、このアービトラージ取引により7ドルの利益が得られることになります。
証拠金：
DBybitのUTAを利用すれば、UTA-PMモードを用いて利益を10倍に拡大することができ（現物ペアのレバレッジを10倍と仮定した場合）、手持ち資金の効率を高めることが可能になります。
満期日の遠いブルスプレッド戦略
仮想通貨に強気の見通しを持っている場合は、同じ仮想通貨を原資産とする異なる行使価格のコールオプションの買いと売りを同時に行うという戦略が使えます。これをブルスプレッド戦略と呼びます。
この戦略は、低い行使価格のコールオプションを買い、高い行使価格のコールオプションを売り、オプションプレミアムのスプレッド（価格差）から利益を得るという比較的シンプルな発想によるものです。そのようなポジションを組むと、資産価格が上昇した場合には購入したコールオプションの価値が上昇するとともに売却したコールオプションの価値が減少するため、差し引きで利益が得られます。
シナリオ：
佐藤さんはBTC価格について強気の見通しを持っており、強気のオプション戦略を使うことにしました。また、佐藤さんは、満期の遠いBTCオプションのボラティリティカーブが急すぎると考えており、アウト・オブ・ザ・マネー（OTM）オプションのインプライドボラティリティもアット・ザ・マネー（ATM）オプションに比べて過大評価だと考えています。そこで、佐藤さんはBTCのATMオプションを購入してOTMオプションを売却します。
取引戦略：
BTCの現在価格が30,000ドルであると仮定します。佐藤さんは満期日が36日の30500c BTCコールオプション契約を購入し、満期日が同じ33500c BTCコールオプション契約を売却します。これにより、佐藤さんのデルタは差し引きで0.27ドルのプラスとなり、オプションプレミアム差額は約965ドルのマイナスとなります。つまり、BTC価格が1ドル上昇するごとにこのポジションから0.27$の利益が発生します。また、この取引は「1件のブル・コール・スプレッドを965ドルで購入した」という言い方もできます。
証拠金：
UTA-PMやUTA-RMのモードを利用することにより全体的な資金効率は向上します。ポートフォリオ内の既存資産が統合され、単一の損失によるリスクの増大がなくなるため、強制決済が回避できます。
満期日の近いショートストラングル戦略
これは満期日が同じで行使価格が異なるコールオプションとプットオプションを同時に売却する戦略であり、オプション契約の売却により得られるプレミアムから利益を得ようとするものです。
シナリオ：
佐藤さんは、満期日の近いアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプションとアウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションを売却します。佐藤さんは、BTC価格がオプション2つの行使価格の範囲内にある限り、オプションの売却時に得た利益を確保できます。
取引戦略：
たとえば、BTC価格が現在30,000ドルであり、ここで佐藤さんが行使価格33500のコールオプションと行使価格29500のプットオプションをそれぞれ売却するとします。BTC価格が29,500ドルから33,500ドルまでの範囲にあれば、アウト・オブ・ザ・マネーのオプション契約は満期時に無価値となるため、オプション契約の売却時に得た利益を維持できます。
証拠金：仮想通貨のネイキッドオプションを売却することは危険だと考えられているため、そのようなオプション戦略の執行に対する必要証拠金の水準は高くなります。UTA-PMでは低い水準の必要証拠金が適用されるため、強制決済を心配せずにコール契約やプット契約の売却が行えます。
おわりに
オプション取引を組み合わせた戦略は、利益の最大化と、各種オプション契約に伴う潜在的なリスクの低減を目的として広く採用されています。ポートフォリオマージンを利用すれば、低い証拠金水準で資本効率の向上が図れます。ただし、オプション戦略にはさまざまな要因があり、それにより不利な状況が発生することもあるため、初心者にとっては比較的難しい取引だといえます。そのため、基本を理解しているという自信がある場合に限りオプション投資を行うようにしてください。