アセンディングトライアングルとは?Bybit(バイビット)で上昇相場に乗ろう
相場の上昇トレンドを見極めて買い注文を出せれば、利益は膨らみます。後から振り返れば「あのタイミングが買い時だったな・・・」と分かりますが、それでは後の祭り。変動の激しい仮想通貨(暗号資産)市場でチャンスをものにするには、その時々で適切に判断する技術が求められます。
この記事では、保ち合いからの上昇ブレイクアウトを示唆するシグナル「アセンディングトライアングル」を中心に解説します。初心者でも見つけやすいシグナルなので、ぜひ参考にしてみてください。
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1. アセンディングトライアングルとは?
アセンディングトライアングル(Ascending Triangle)とは、保ち合いからブレイクアウトして上昇トレンドが継続することを示唆するチャートパターンです。
アセンディング(Ascending)は「上昇」、トライアングル(Triangle)は「三角形」を意味するので、「上昇三角形」とも呼ばれています。
上図では、複数の高値を結ぶ水平のレジスタンスラインと、複数の安値を結んで切り上がっているサポートラインとの間に、上向きの三角形が形成されています。これが、アセンディングトライアングル(上昇三角形)の名称の由来です。
アセンディングトライアングルは、上昇トレンド継続のサインとする見方が主流ですが、そのほかにも「下降トレンドからのトレンド転換のサイン」や「下方ブレイクのサイン」として利用されることもあります。
ここでは、アセンディングトライアングルの3つの見方を紹介します。
【見方1】上昇トレンド継続のサイン
アセンディングトライアングルは基本的に、上昇トレンドが保ち合いを挟んで継続する際のサインとされています。
実際のチャートで見てみましょう。
2023年10月から長い上昇トレンドに入っていたソラナ(SOL/USDT)は、2023年12月には一旦上昇が停滞しました。しかし、徐々に下値を切り上げるアセンディングトライアングルのチャートパターンが出現し、最終的にレジスタンスラインをブレイクアウトして大きく上昇しています。
アセンディングトライアングルが形成されれば、その後に価格が大きく上昇する傾向が見られます(上向きのブレイクアウト)。なぜなら、レンジ(値幅)が狭くなる中で、買いのエネルギーがたまり、水平のレジスタンスラインを突破した時点で一気に買いが膨らむからです。
買い手は、何度もレジスタンスライン付近で売り圧力に跳ね返されながらも、下値を切り上げる形で買いを進めています。一般に、ブレイクアウトのシグナルであるアセンディングトライアングルが呼び水となり、他の投資家の買い注文も入ってきます。
【見方2】下降トレンドからのトレンド転換のサイン
主流の見方では上昇相場で現れるサインですが、アセンディングトライアングルが下降トレンドで出現したときは、下降トレンドから上昇トレンドに転換するサインとみなされることもあります。
上昇トレンド継続のサインの場合と同様に、サポートラインの切り上げによって下落の勢いが徐々に弱まっていることがチャートから読み取れます。
【見方3】下方ブレイクのサイン
さらに、アセンディングトライアングルは、下落方向のブレイクアウトのサインとして利用されることもあります。
一般的な見方でのアセンディングトライアングルのブレイクアウトでは、上値を抑えるレジスタンスラインを突破します。一方、下落方向のブレイクアウトでは、上値が切り上がってきたサポートラインを下にブレイクすることに注目します。
ただし、一時的にサポートラインを割ったとしても再度上昇する可能性もありますので注意が必要です。
2. アセンディングトライアングルの見分け方
ここからは、アセンディングトライアングルの見分け方を紹介します。
上昇相場が停滞してきたら、チャートがアセンディングトライアングルの特徴を満たしているかどうか確認してみましょう。
水平なレジスタンスラインと切り上がるサポートラインの2つがアセンディングトライアングルの主な特徴ですが、それ以外にも保ち合いに入る前のトレンドがどうなっていたかや出来高を確認すると、分析の精度を上げることができます。
レジスタンスライン・サポートライン
アセンディングトライアングルが成立する条件は、水平なレジスタンスラインと切り上がるサポートラインです。
レジスタンスラインで上値を阻まれ、サポートラインで下値を切り上げる形状が少なくとも2回続けばアセンディングトライアングルは成立するとされていますが、保ち合いの期間が長ければ長いほどブレイクした際のエネルギーは大きくなる傾向があります。
エントリーするのであれば、しっかりと値幅を取れるタイミングを狙いたいですね。
トレンドの継続
先ほど紹介したように、アセンディングトライアングルは基本的にはトレンドの継続を示すチャートパターンです。
アセンディングトライアングルを根拠にエントリーポイントを探す場合は、保ち合いに移行する前のトレンドが上昇トレンドになっていることを確認しましょう。
出来高の増加
アセンディングトライアングルを根拠にしたエントリーを検討する際は、出来高もポイントになります。
一般的に、保ち合いの期間は出来高が低下し、逆に強いブレイクアウトでは出来高が増加する傾向があります。
ブレイクアウトに合わせて出来高が増加した場合は、価格上昇が続くことを期待できます。反対に、出来高が少ないときにレジスタンスラインをブレイクした場合は、上昇が続かないダマシの可能性がありますので、注意が必要です。
Bybitでは、チャート上に出来高が表示されますので、この出来高も加味した分析をすることができます。
なお、アセンディングトライアングルと同様にトレンド継続を示すチャートパターンには、ほかにもフラッグやペナントなどがあります。気になった方は、「ベアフラッグとは何か?収益機会を逃さないチャート分析と投資戦略を解説」や「ブルペナントパターン:強気のペナントを用いた取引方法」を読んでみてください。
少しだけ説明すると、ベアフラッグパターンとは、ローソク足チャート上で形成されるパターンの一つです。このパターンは、引け前の急な下げを表すフラッグポールと、実際のリトレースメント(戻り)を表すフラッグ本体によって構成されます。
一方、ブルペナントパターンとは、チャート取引の継続パターンであり、強い上昇トレンドの後、価格の変動が一時的に止まり、短期的にもみ合い相場で推移した後、さらに上昇し、再度大きな上昇トレンドに転じます。
さまざまなテクニカル分析を理解しておくとトレーディングの幅が広がります。一度にマスターしようとせず、少しずつ身に付けていきましょう。
3. アセンディングトライアングルのエントリー/利確/損切りポイント
仮想通貨市場でアセンディングトライアングルの兆候を見つけたら、下記のポイントを吟味しましょう。詳細については、Bybit記事「上昇三角形パターンと仮想通貨取引での利用法」も参考になります。
エントリーポイント(新規で買い注文を入れる時点)
アセンディングトライアングルはエントリーポイントが視覚的にわかりやすいことで人気の手法です。
アセンディングトライアングルのエントリーポイントとしては、レジスタンスラインのブレイクアウトが確認できた直後と、一旦レジスタンスラインをブレイクした後に再度レジスタンスラインに戻ってきたときの2パターンがあります。
レジスタンスラインをブレイクアウトした後は、そのラインがサポートラインに転じることがよくあります。ブレイク後に価格がレジスタンスラインに戻ってきて、それがサポートラインとして機能することを確認した後にエントリーすれば、ダマシのブレイクアウトを回避できます。
ただし、ブレイク後に必ずレートがレジスタンスラインに戻ってくるとは限らず、エントリー機会を逃してしまうリスクもあります。
なお、単に一時的にレートがレジスタンスラインを超えたことでブレイクアウトが発生したと判断することもありますが、より確実にしたい場合は終値がレジスタンスラインを超えていることも重視されます。
安値がきれいに切り上がってきたアセンディングトライアングルが形成されつつあるのを見ると、ブレイクアウトしたことを確認する前に慌てて買いを入れたくなるかもしれません。しかし、ブレイク前に先走ってポジションを持つのは要注意です。ブレイクせずに下落してしまう場合もあります。
焦らなくても、仮想通貨市場にはたくさんのチャンスがありますよ。
利確のポイント
エントリーの際には、なんとなくポジションを持つのではなく、明確な利益確定のポイントを決めておきましょう。欲張りすぎると、相場が反転した場合に含み損に転じてしまうかもしれません。
アセンディングトライアングルの利益確定の目標としては、保ち合いが始まった時点のサポートラインからレジスタンスラインまでの値幅分とする方法が有名です。
例えば、保ち合いが始まった時点からレジスタンスラインまでの幅が500ドルなら、利益確定幅も500ドルになるということですね。
そのほかにも、ブレイクアウトを狙った戦略でよく使われる、「トレーリングストップ」を活用する方法もあります。
トレーリングストップとは、価格レートの動きに沿って利益確定のための逆指値決済注文を調整していく方法です。価格が有利な方向に100ドル上昇したとすると、逆指値決済注文もそれに沿って100ドル引き上げられます。
トレーリングストップを使えば、利益が伸びている間はそれを伸ばすことができる一方で、相場が反転した際にはすぐにポジションを決済することで損失を制限することができます。Bybitのトレーリングストップ機能については「トレーリングストップ注文について」をご確認ください。
損切りのポイント
アセンディングトライアングルでは、一旦レジスタンスラインをブレイクアウトしても、すぐに下落に転じることも考えられます。
ダマシのブレイクアウトだった場合に備えて、エントリー時に損切りも設定しておきましょう。相場が思い通りに動かなかったときは、ダメージを小さくして次に備えるのも重要です。
アセンディングトライアングルの損切りポイントとしては、サポートラインの延長線上がよく利用されます。
サポートラインを割ることでトレンドが転換したと判断されるため、リスク回避のために買いポジションを損切りします。
スキャルピングなどの短期トレードをするトレーダー向けには、レジスタンスラインのすぐ下に損切りを設定する方法もあります。上昇トレンドが継続する際にはレジスタンスラインがサポートラインに転じるはずですが、そのように相場が動いていないことを確認した時点で損切りをすることになりますので、サポートラインを割るよりも早い時点で判断ができます。
Bybitでは最大100倍のハイレバレッジを利用できますが、デリバティブ取引ではガチホではなく適宜損切りを入れていくことが推奨されます。Bybitのレバレッジ取引について気になる方は「【追証なし】Bybitの最大100倍レバレッジ取引のやり方や計算方法を解説」を読んでみてください。
4. アセンディングトライアングルの成功パターンと失敗パターン
チャートがアセンディングトライアングルを形成した後、どのような値動きをする可能性があるのか、ブレイクアウトの成功パターンと失敗パターンをまとめました。
成功パターン
アセンディングトライアングルの利益確定の方法でご紹介した通り、ブレイクアウトが成功する際には、ブレイク後にそのまま上昇を続けるパターンと、一旦下落するもののレジスタンスラインで反発するパターンがあります。
損切りポイントは狭い場合でもレジスタンスラインの下に設定されるので、このパターンでは買いエントリーで利益を上げることができます。
失敗パターン
一方、ブレイクアウトに失敗する場合は、そもそもレジスタンスラインをブレイクせずに下落するパターンと、一旦ブレイクしたもののすぐに下落に転じてしまうパターンがあります。
ブレイクせずに下落した場合はそもそもエントリーしないので損失はありませんが、ブレイクした後に下落に転じた場合は残念ながら損切りが必要です。
5. 三角保ち合いの別パターンを学ぶ
アセンディングトライアングルは、買いと売りが拮抗して値幅が狭まる「三角保ち合い」の一種です。この三角保ち合いには、アセンディングトライアングル以外にもさまざまなパターンがあります。
左端:シンメトリカルトライアングル:上方向または下方向にブレイクアウト
中央:アセンディングトライアングル:上方向にブレイクアウト
右端:ディセンディングトライアングル:下方向にブレイクアウト
シンメトリカルトライアングル
シンメトリカルトライアングルは、「シンメトリカル(対称)」の形状をした三角保ち合いです。
アセンディングトライアングルやディセンディングトライアングルとは異なり、方向感を欠いた状態でトレンドラインが収束に向かっています。
収束後に上方向か下方向のどちらかに大きく動く可能性があることを示すチャートパターンですが、方向性に関しては中立で、ブレイクアウトした方向にエントリーする戦略を取ります。
ディセンディングトライアングル
ディセンディングトライアングルは、「ディセンディング(下降)」の形状をした三角保ち合いです。
アセンディングトライアングルとは逆で、複数の安値を結ぶ水平のサポートラインと、複数の高値を結んで切り下がっているレジスタンスラインとの間に、下向きの三角形が形成されています。
サポートラインで買い支えが行われていますが、高値が切り下がっており売り圧力が徐々に増していることを示すチャートパターンです。
水平のサポートラインをブレイクしたところがエントリーポイントになります。
6. Bybit(バイビット)でアセンディングトライアングルを可視化する方法
アセンディングトライアングルのエントリーポイントは、水平のレジスタンスラインをブレイクアウトしたときです。
レジスタンスラインとサポートラインをそれぞれチャートに描画すると、アセンディングトライアングルの確認がしやすくなります。
Bybitが提供する取引ツールのMT4とTradingViewのライン機能を活用して、アセンディングトライアングルを描画してみましょう。
MT4では、レジスタンスラインをブレイクアウトした際にアラートが鳴るように設定することもできます(TradingViewは有料)。
A)MT4でアセンディングトライアングルを描画する方法
MT4はFXトレーダーに人気の取引ツールですが、仮想通貨取引にも利用できます。
MT4で下図のように、「挿入」>「ライン」の順にクリックしていき、「水平線」をクリックするとレジスタンスラインを描画できます。同様に「トレンドライン」をクリックするとサポートラインが描画できます。
MT4でレジスタンスラインをブレイクした際にアラートが鳴るように設定するには、チャート上でアラートを表示させたい価格レートにマウスを移動させ、右クリックしてメニューを表示し、「注文発注」>「アラート」の順にクリックします。
アラートの設定はこれだけで完了し、チャートの右端に矢印が表示されます。
BybitでMT4を使って取引する方法については、「MT4仮想通貨取引:MT4で仮想通貨を取引する方法」を参考にしてください。
B)TradingViewでアセンディングトライアングルを描画する方法
ブラウザで利用できるBybitのトレードツールには、人気トレードツールTradingView(トレーディングビュー)のチャートが内蔵されています。
TradingView でも、レジスタンスラインとサポートラインを簡単に描画できます。
チャート左側のメニューで上から二番目にあるラインアイコンをクリックすると、TradingViewで描画できるライン一覧が表示されます。ここから「トレンドライン」を選択するとサポートラインが、「水平線」を選択するとレジスタンスラインが描画できます。
TradingViewでもレジスタンスラインをブレイクアウトした際にアラートが鳴るように設定することはできますが、TradingViewの有料プランを契約する必要があります。詳しくは、「BybitでTradingView、アラート、Webhookシグナル取引を利用する方法」をご確認ください。
無料でアラートを利用したい方は、Bybitアプリで設定できます。
7. まとめ
この記事では、アセンディングトライアングルを中心に、仮想通貨市場で上昇トレンド継続のシグナルを見つける方法をご紹介しました。アセンディングトライアングルの見方に始まり、チャートでの見分け方、さらにはエントリーポイントや利益確定ポイントについても具体的に解説しています。Bybit記事「上昇三角形パターンと仮想通貨取引での利用法」もぜひ参考にしてください。
この記事を読みながら、BybitのMT4やTradingViewでチャートを確認していけば、理解が深まります。ご紹介のチャート分析は効果的ですが、そのとおりに相場が動く保証は全くありません。その点を踏まえて、利確ポイントと損切りポイントを設定しておきましょう。
Bybitアカデミーはトレード関連の記事を多数掲載しています。テクニカル分析の腕を磨いて、相場の波に乗りましょう。
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