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イーサリアム現物ETF承認:仮想通貨市場への影響

中級者向け
仮想通貨
20 de mai de 2024

2024年1月、米国証券取引委員会(SEC)が多数のビットコイン現物ETF(上場投資信託)を承認したことを受け、イーサリアム現物ETFもやがて承認されるとの楽観論が広がりました。さらに、アジア地域でイーサリアム現物ETFが初めて承認されたとの報道もあり、米国での承認とローンチに対する期待が高まりました。ただし、このような熱狂にもかかわらず、一部の業界アナリストは懐疑的な姿勢を崩していません。本記事では、イーサリアム現物ETFの承認が幅広い仮想通貨(暗号資産)市場にもたらす影響について検討します。

この記事のポイント

  • イーサリアム現物ETFにより、伝統的な投資家もイーサリアムに投資しやすくなる可能性があります。

  • ETFが承認されれば、イーサリアムを直接取引する必要がなくなるので、取引しやすい資産に変わる可能性があります。その結果、市場の流動性が高まるでしょう。

  • イーサリアム現物ETFの承認により、仮想通貨市場に対する投資家の関心が高まり、資金流入も増える可能性があります。

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イーサリアム現物ETFとは?

イーサリアム現物ETFは、イーサリアムの価格をリアルタイムに追跡する上場投資信託であり、従来の株式市場を通じて投資できます。イーサリアムを実際に購入・保有しなくても、イーサリアムに投資できるというメリットがあります。

イーサリアム現物ETFのしくみ

イーサリアム現物ETFでは、投資家から資金を集めてイーサリアムを購入し、ETF内で保有します。

複雑な仮想通貨ウォレットや取引所を使わずに、伝統的な株式と同じように、通常の証券口座を通じてETFの株式を購入できます。この株式は、ETFで保有されているイーサリアムに対する持ち分を表しているので、規制を遵守した簡便な方法でイーサリアムを間接的に所有できることになります。

ETF株式を作成する際には、指定参加者(通常は金融機関)がイーサリアムを購入し、同じだけの価値を持つETF株式を市場で売却します。また、指定参加者はETF株式を償還することもできます。その際には、十分な量のETF株式を購入し、現物イーサリアムと交換して、ETF株式を市場から引き揚げます。

その結果、ETF株式の価格は、イーサリアムの現物市場価格と同じように変動する傾向があります。価格変動にずれがある場合には、ETFのミスプライスから利益を得るためのアービトラージ取引が行われます。それでも、単純な需給要因により、ETFの取引価格がイーサリアムと一致しないことは理論上起こりえます。

証券としてのETFはSECの規制下にありますので、イーサリアム現物ETFは規制された投資商品といえます。一方、現物イーサリアムについては、証券に分類すべきかどうかをSECが調査しており、規制に関する状況がはっきりとしていません。

イーサリアム現物ETFのメリット

ETF化は投資家に多くのメリットをもたらします。投資プロセスが簡単になり、証券口座さえあればイーサリアムに投資できるようになります。仮想通貨取引所のアカウントを登録したり、ストレージを管理したりする必要はありません。時間を節約でき、安心して投資できるようにもなるでしょう。また、ETF化によって規制に関する状況が明確になるため、その点を重視する機関投資家も投資しやすくなり、流動性や取引量の増加が見込まれます。

仮想通貨分野においてセキュリティは最重要であり、ETFプロバイダーもセキュリティ対策に注力しています。保有するイーサリアムの安全を守るため、ETFプロバイダーはコールドストレージと保険付きのカストディアルサービスを組み合わせています。その結果、個人で仮想通貨に投資する場合につきものの盗難や紛失のリスクを最小限に抑えられます。

イーサリアム現物ETFは、従来型の金融(TradFi)と刺激的な(しかし発展途上の)仮想通貨分野とを橋渡しする存在です。従来型の金融商品のように高いセキュリティと取引のしやすさを備えていると同時に、より多くの投資家がイーサリアムに投資できる機会を生み出します。

イーサリアム現物ETFの現状

イーサリアム現物ETFには熱狂的な関心が集まっていますが、規制当局の調査も実施されています。BlackRockやFidelityなどの大手金融機関がイーサリアム現物ETFの申請をSECに提出しました。しかし、SECによる判断は遅れており、一部の申請に対する判断期日は2024年5月23日に迫っています。

申請者が4月までに申請内容を更新するならば、それはSECからのフィードバックを反映するためと考えられますので、ポジティブな兆候と解釈できます。しかし、申請内容の更新がなければ、2024年1月のビットコイン現物ETFの承認前に行われたようなSECとETF発行者との活発な話し合いがないことを意味するでしょう。

もう一つの課題としては、イーサリアムを証券に分類すべきかどうかの調査をSECが続けていることがあります。この調査は、コンセンサスメカニズムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行してから開始されたと言われています。ステーキングを通じて報酬を得ることは、資産を証券に分類する基準を満たしている可能性があります。また、イーサリアムは分散型ファイナンス(DeFi)の基盤も提供しているため、調査の複雑性が高くなっているようです。

イーサリアムETFが承認される確率について、アナリストの意見はさまざまです。たとえば、Bloombergのアナリストは5月までに承認される確率は35%と推定しています。ただし、最近はSECから何の発表もないため、不承認の可能性が高まっているかもしれません。

イーサリアム現物ETFの承認が熱望されている理由は、ビットコイン現物ETFの承認によって仮想通貨市場に資金が流入したのと同じ現象が起こると考えられているからです。イーサリアム現物ETFの承認は仮想通貨にとって非常に重要な出来事であり、さらに多くの投資が集まり、仮想通貨の正当性が高まることになります。イーサリアム投資の未来にとって今後数ヶ月は非常に重要なので、仮想通貨コミュニティは動向を注視しています。

最近承認されたイーサリアム現物ETF

アジアの香港においては、ビットコイン現物ETFとイーサリアム現物ETFが最近初めて承認されました。この画期的な決定により、香港は人気の高い仮想通貨と主流の投資商品との統合を推し進め、アジアの金融分野における先駆者となっています。

香港での承認により仮想通貨コミュニティは熱狂しました。アジア地域でデジタル資産が好意的に受け入れられていることが示されたからです。アナリストは、この動きが他の国や地域の先例となり、仮想通貨が正当な資産クラスとして幅広く受け入れられ、認められていく可能性があると考えています。

新たに承認されたETFは、規制下にある使い慣れた商品を通じて仮想通貨へのエクスポージャーを得られるため、多くの個人投資家と機関投資家を引きつけることになるでしょう。このように関心が高まれば、仮想通貨市場の安定性も向上し、アジア地域におけるビットコインやイーサリアムの値動きに影響が及ぶかもしれません。

米国でもイーサリアム現物ETFの承認判断が間もなく下されることを考えると、香港での承認のタイミングは注目に値します。この積極的なアプローチが米国以外の金融センターにも刺激を与え、類似の承認が検討されるようになれば、仮想通貨市場がグローバルに拡大し、成熟していく契機となるでしょう。

イーサリアム現物ETF申請による仮想通貨市場への直近の影響

イーサリアム現物ETF申請に関する熱狂は、仮想通貨市場に明らかな影響を及ぼしており、特にイーサリアムの価格や全体的なセンチメントへの影響が顕著です。SECへの新たなETF申請が行われた時期に、イーサリアムは約3,700ドルに達し、時価総額は8%増加しました。この上昇の背景には、イーサリアムへのアクセスが容易になる可能性について、市場が楽観的に考え、ポジティブなセンチメントを持っていたことがあります。ただし、イーサリアムはボラティリティが高くなる場合もあり、4月には1週間で14%以上も下落しました。

このような変動はありますが、先日のビットコイン現物ETF承認と同じように、ETFの発展はイーサリアムの価格動向に大きな影響を及ぼすと一般的には考えられています。さらに、複数の仮想通貨ETFが最近承認されたことを受けて、仮想通貨に関する資金流入や認知度向上について、楽観論やポジティブな予想が増えています。

要約すれば、イーサリアム現物ETF申請が現在の仮想通貨市場に及ぼす影響としては、期待の高まりとボラティリティの増大が主に挙げられます。イーサリアムの価格は、規制環境の変化や、仮想通貨ベースの投資商品が普及する可能性に応じて、変動しています。

イーサリアム現物ETF申請が承認された場合の影響

イーサリアム現物ETF申請がSECに承認されれば、仮想通貨市場(特にイーサリアム)にとって画期的な出来事となります。以下のようなメリットが実現するでしょう。

  • アクセスの向上:SECに承認されれば、幅広い投資家がイーサリアムに投資しやすくなります。特に、規制された投資商品を好む投資家にとって魅力が高まります。

  • 規制に関する安全性:承認により、規制された方法でイーサリアムに投資できるようになります。規制に関する状況が不透明だったためイーサリアム投資をためらっていた機関投資家についても、投資を増やす可能性があります。

  • 価格への影響:ビットコイン現物ETFの承認と同じように、イーサリアム価格が急騰する可能性があります。投資家からの関心が高まり、ETF関連の資金流入によって需要も増加するからです。ただし、当初の熱狂が薄れると、一部の投資家が「ニュースで売る(sell the news)」ことにより、短期的には値下がりする可能性もあります。

一部の専門家は、先日のビットコイン現物ETF承認を引き合いに出し、承認が発表された直後にイーサリアム価格は急騰すると予想しています。資産としてのイーサリアムに対する信頼と関心が高まるからです。長期的には、ビットコイン現物ETFがビットコイン価格に及ぼした影響と同じように、イーサリアム現物ETFは成長と安定に貢献するでしょう。

ただし、考慮すべき重要な違いもあります。SECはイーサリアム(特にPoSコンセンサスメカニズム)に対して慎重な姿勢をとっているため、承認プロセスやその後の市場の反応に影響が及ぶ可能性があります。また、イーサリアムには独自のエコシステム(DeFiやスマートコントラクトでの役割など)があるため、ビットコイン現物ETFの承認時とは市場の反応が異なるかもしれません。

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おわりに

イーサリアム現物ETFが承認されれば、仮想通貨市場にとって非常に重要な節目となります。アクセスが容易になり、投資が増え、正当性も高まると考えられます。短期的な価格変動は起こるかもしれませんが、長期的には先日承認されたビットコイン現物ETFと同じようにプラス成長につながり、イーサリアムの投資環境がさらに成熟していくでしょう。

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