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イーサリアム現物ETF:主な申請案件の概要

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仮想通貨
20 трав 2024 р.

複数のイーサリアム現物ETF(上場投資信託)の申請案件が規制当局からの承認を待っており、仮想通貨(暗号資産)業界で大きな変革が起こる可能性があります。イーサリアム現物ETFは、伝統的な投資市場と急成長するデジタル資産の世界を橋渡しする存在であり、イーサリアムへのエクスポージャーを手軽に保有できる規制商品となります。

本記事では、イーサリアム現物ETFの主な申請案件、その重要性、市場への潜在的な影響、仮想通貨の普及への影響を探ります。

この記事のポイント

  • イーサリアム現物ETFの注目すべき申請案件は、BlackRock、Fidelity、Franklin Templeton、Invesco、Grayscaleといった知名度の高い発行体が提出しています。今年初めには、これらの発行体によるビットコイン現物ETFの申請が承認されています。

  • イーサリアム現物ETFにより、投資家はデジタルウォレットを管理したりイーサリアムを直接購入したりすることなく、よりシンプルかつ規制された方法を通じてイーサリアムへのエクスポージャーを保有できるでしょう。承認されれば、流動性と取引高が増加する可能性があります。

  • イーサリアム現物ETFの承認は、市場の変動や取引の活発化につながる可能性があります。

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イーサリアム現物ETFの申請とは?

イーサリアム現物ETFの申請は、米国証券取引委員会(SEC)などの規制当局に提出するものです。イーサリアム(ETH)の価格に連動するETFを上場させ、投資家がイーサリアムを直接保有することなく、エクスポージャーを保有できるようにすることを目的としています。

イーサリアム現物ETFの申請のしくみ

イーサリアム現物ETFの申請とは、イーサリアム(ETH)の価格をリアルタイムで追跡する金融商品を提供するために、金融機関が規制当局の承認を求める正式な要請です。イーサリアムは時価総額第2位の仮想通貨であり、イーサリアムネットワークのトークンとして利用されています。

承認までの流れ:

  • 金融機関はSECなどの規制当局に包括的な申請書を提出します。この申請書には、計画しているETFの管理、運営、セキュリティ対策に関する具体的な計画が概説されています。

  • この後、規制当局は申請内容がすべての法的・規制的基準に準拠しているかどうかを入念に審査します。この調査には、潜在的なリスクの評価、ETFの構造案の調査、ETFを効果的に管理する機関の能力の評価が含まれます。

  • 審査プロセスが完了すると、規制当局は申請を承認または却下します。承認されると、金融機関はイーサリアム現物ETFの証券取引所への上場を許可され、投資家は株式と同じようにイーサリアム現物ETFの株式を売買できるようになります。却下された場合、金融機関は指摘された懸念事項に対処するか、計画を完全に破棄する必要があります。

  • 承認されて証券取引所に上場すると、ETFプロバイダーが保有するイーサリアムの一部を表す形で、イーサリアム現物ETFの株式が作成されます。これらの株式は、イーサリアムの現在の市場価格と正確に連動するように設計されています。

投資家は証券口座を通じて株式を購入することでETFに参加できます。この方法では、イーサリアムを直接購入したり保有したりすることに伴う複雑な手続きなしに、イーサリアムの価格変動へのエクスポージャーを保有できます。ETFプロバイダーは、イーサリアムを安全に保有し、イーサリアム現物ETFの日々の運用を管理し、規制要件を継続的に遵守する責任を負います。

イーサリアム現物ETFの申請を取り巻く現状

BlackRock、Fidelity、VanEck、ARK 21Sharesといった名だたる大手金融機関がすべて、イーサリアム現物ETFの承認を目指し、SECへの申請に挑んでいます。これらの発行体は、以前にビットコイン現物ETFの運用に向けて申請を行いました。現在ではビットコイン現物ETFは承認されて、取引されています。

しかし、SECは最近、イーサリアム現物ETFの承認可否の判断を延期しており、意思決定のプロセスが長引いています。また、ビットコイン現物ETFの承認を正当化する論拠がイーサリアム現物ETFにも適用されるかどうかを判断するため、一般からの意見も求めています。

さまざまな申請者に対するSECの最終決定期限は2024年5月23日から7月5日に予定されており、期限が近づくにつれ、期待が高まっています。SECの審査プロセスでは、相場操縦の可能性や、イーサリアムの現物と先物上場投資商品の類似性などの要素が評価されます。

これらの申請の結果は、仮想通貨の投資手段に関する将来の展望を形成し、伝統的な金融市場におけるイーサリアムの普及を促進する上で重要な役割を果たす可能性があるため、大きな影響力を持ちます。投資家もアナリストも、イーサリアムと仮想通貨市場全体の運命を左右する可能性を認識し、動向を注視しています。

注目度が高い主なイーサリアム現物ETF申請案件

複数の有名金融機関がイーサリアム現物ETFを申請しており、仮想通貨投資商品への関心の高まりを反映しています。注目すべき申請機関の一部を以下に挙げます。

BlackRock

BlackRockはグローバルに投資を手掛けている世界最大の資産運用会社です。2023年11月にイーサリアム現物ETF「iShares® Ethereum Trust」を申請しました。しかし、SECは承認可否の決定を2024年1月下旬まで延期したあと、3月まで再延期しました。さらに、SECは現在、特にイーサリアムの詐欺の可能性に関して、申請に対する所見を一般から求めており、2024年6月11日まで決定を延期しています。

Franklin Templeton

同じく大手資産運用会社のFranklin Templetonは、2024年2月にイーサリアム現物ETFを申請しており、複数の企業間で繰り広げられているイーサリアム現物ETFの上場争いには最後に加わっています。SECは、同社の申請に対する可否の決定期限を2024年6月まで延期しています。承認されれば、「Franklin Ethereum ETF」としてシカゴ・オプション取引所に上場します。

VanEck

VanEckはETFや投資信託で知られる投資運用会社で、2021年7月、SECにイーサリアム現物ETFを申請しましたが、承認について懐疑的な見方を表明しています。SECによる承認可否の決定は2024年5月に予定されていますが、VanEckのCEOは、SECから何の連絡もないため不穏な空気が漂っているとして、2024年5月23日の期限までに承認されるかどうかについて懐疑的な見解を述べています。VanEckは、米国でイーサリアム現物ETFを最初に申請した投資運用会社として注目に値します。

21SharesおよびARK Invest

21Sharesは仮想通貨のETP(上場投資商品)に特化し、一方、ARK Investはテーマ投資に注力しています。両社は2023年9月に「ARK 21Shares Ethereum ETF」を共同申請し、SECは2024年5月24日までに可否を決定する予定です。申請書の修正によりキャッシュ創出モデルが追加され、ETFのイーサリアムの一部をステーキングして、追加収入を生み出す計画を提案しています。

Hashdex

Hashdexは仮想通貨に特化したグローバルな資産運用会社で、「Hashdex Nasdaq Ethereum ETF」の上場と株式取引について、2023年9月にSECに申請しました。しかし、SECは承認の可否決定を延期しており、2024年5月下旬までに決定が下される見通しです。

Grayscale

Grayscaleは世界最大のデジタル通貨資産運用会社であり、仮想通貨やデジタル通貨資産クラスへのエクスポージャーを提供するさまざまな投資商品を取り扱っています。同社は2023年10月に「Grayscale Ethereum Trust」をイーサリアム現物ETFに転換するための申請を行いました。SECは審査期間を延長し、期限を2024年6月に改めました。

InvescoおよびGalaxy Digital

投資運用会社のInvescoは、総合金融サービス会社のGalaxy Digitalと提携し、イーサリアム現物ETF(「Invesco Galaxy Ethereum ETF」と命名予定)の共同申請を行いました。2023年12月に予定されていたSECの可否決定は、2024年7月5日に延期されました。

Fidelity

Fidelity Investmentsは、世界的に事業を展開し、数百万人の顧客を抱える大手金融サービス企業です。同社はまず、2023年11月にイーサリアム現物ETFを申請しました。その後、2024年3月に申請内容を更新し、投資家がステーキング報酬により追加収益を得られるETHステーキングを追加しました。SECは2024年5月23日を承認可否の決定期限としています。

イーサリアム現物ETF申請が承認された場合の影響

イーサリアム現物ETFの申請が承認されれば、仮想通貨市場に大きな影響がもたらされるでしょう。

  • アクセスの向上:イーサリアム現物ETFを利用すれば、仮想通貨取引所やデジタルウォレットなどの複雑な手続きをする必要がなくなり、セキュリティ上の心配もなく、簡単にイーサリアムに投資できます。その結果、伝統的な金融セクターの投資家を含む、より幅広い層の投資家が集まる可能性があります。

  • 市場からの信頼の向上:イーサリアム現物ETF申請の承認により、仮想通貨市場全体に対する信頼が高まり、新たな投資家が集まり、前向きな市場心理が促進されるでしょう。投資家がブロックチェーン資産分野での分散化を求めるにつれ、イーサリアムなどのアルトコインの需要と価格が押し上げられる可能性があります。

  • 規制状況の明確化:イーサリアム現物ETF申請が承認されれば、切望されている規制上の明確化が、ある程度実現する可能性があります。SECはイーサリアムを証券に分類すべきかどうかを調査しており、イーサリアム現物ETFを承認する前に調査が完了するかは不明です。分類が明確化されなくても、イーサリアム現物ETFが承認されれば、機関投資家が必要としている規制上の監視が実現するかもしれません。

  • 市場変動の可能性:イーサリアム現物ETFへの期待や最終的な承認により、ビットコインETFで見られたものと同様に、市場変動につながる可能性があります。承認されれば、価格が急騰し、取引が活発化する可能性があります。

  • 分散化の機会:投資家がブロックチェーン資産内での分散投資を求めることにより、他の仮想通貨の需要増加と価格上昇につながる可能性があります。

  • 価格動向:イーサリアム現物ETFが承認されれば、イーサリアムに対する需要が高まり、投機的な関心や新たな投資の流入によってイーサリアムの価格が上昇する可能性があります。

  • ネットワークの拡大:投資家の関心が高まれば、イーサリアムネットワークの成長・発展が加速する可能性があります。これにより、分散型アプリケーション(DApp)や分散型金融(DeFi)の領域でイノベーションが促進されるでしょう。

  • 正統性と統合:イーサリアム現物ETFの承認は、規制当局によるある程度の受容を意味するため、信頼できる資産としてイーサリアムの評判が向上する可能性があります。したがって、規制当局の承認を受ければ、主要機関投資家による購入が促されるでしょう。

  • 規制面での前例:イーサリアム現物ETFが承認されれば、他の仮想通貨に対し、規制に関する前例が確立され、将来の仮想通貨ベースのETFに道を開く可能性があります。

  • 機関化:イーサリアム現物ETFが承認されれば、機関化された仮想通貨投資を提供する重要な一歩となり、個人投資家と機関投資家の双方にとって利用の幅が広がるでしょう。

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おわりに

イーサリアム現物ETFの承認は、仮想通貨市場にとって重要な節目となるでしょう。イーサリアムが大幅に使いやすくなり、市場での信頼も高まり、イーサリアム価格が上昇する可能性もあります。さらに、イーサリアム現物ETFの承認は仮想通貨の普及における新たな節目となり、投資家は規制商品を通じて手軽に投資できるようになるでしょう。ただし、規制上のハードルや市場変動といった要因により、申請案件が承認される時期や規模に影響が生じる可能性もあります。

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