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すべてのビットコインがマイニングされると何が起こるのか?BTC発行枚数上限2100万枚の謎に迫る

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ビットコイン
5 мар. 2024 г.

分散型台帳技術を特徴とするビットコインは、その長期的な成長可能性の高さから大きな注目を集めています。現在、1,900万以上のビットコインがマイニングされ、ビットコインは1年以内に次の半減期を迎えます。この記事では、おそらく多くの方が気になる一つの疑問を考察してみようと思います。すべてのビットコインがマイニングされた後、一体何が起こるのでしょうか?

この記事のポイント:

  • 毎日平均900ビットコインがマイニングされています。約92.358%のビットコインがすでにマイニングされています。

  • ビットコインは2024年に次の半減期を迎えます。これにより、現在の6.25 BTCの報酬が3.125 BTCに半減します。

  • マイナー、個人投資家、機関投資家、政府などのビットコインのステークホルダーは、2100万ビットコインすべてがマイニングされたときに最も影響を受ける可能性があります。 

マイニング可能なビットコインの数は?

2023年6月現在、約1,940万2,000ビットコインがすでに流通しており、まだマイニングされていないビットコインは159万ビットコインのみとなっています。ビットコインは1時間に平均37.5ビットコインがマイニングされています。これはつまり、毎日900 BTCがマイニングされていることになります。ビットコインはその性質上、本当の意味で「失われる」ことはありません。一般的に「ビットコインが失われた」という言葉の表現が使われる場合、ビットコインの保有者がプライベートキーを紛失し、保有しているビットコインが凍結資産となったことを意味します。

ビットコインの半減期イベント

半減期は、210,000ブロックがマイニングされるたびに(おおよそ4年毎)、ビットコインの供給量を半分に減らす目的で実施されます。このメカニズムによって、最後のマイニングは2078年末までに実施されると予想されています。つまり、それ以降はビットコインをマイニングできなくなります。

ビットコインの全供給量がマイニングされる具体的な日付については意見が分かれています。その答えをGoogleで検索すると、このイベントの日付が2078年ではなく2040年と記載されている場合もあります。 

マイニングの報酬は、1ブロックあたり50 BTC(ビットコインがリリースされた2009年当時)でスタートしました。2012年11月にビットコインが最初の半減期を迎えた時、マイニング報酬は1ブロックあたり25 BTCに半減され、次の2016年7月では12.5 BTC、最新の半減期(2020年5月)では6.25 BTCまで減少しました。次は2024年6月5日に半減期を迎え、ビットコインのブロック報酬は3.125 BTCまで減少すると予想されています。2023年6月15日現在、現在のブロック数は794,416ブロックであり、次の半減期を迎える840,000ブロックまで45,584ブロックのマイニングが残されています。

日付

ブロック報酬

ブロックの高さ

2009

50 BTC

0

2012

25 BTC

210,000

2016

12.5 BTC

420,000

2020

6.25 BTC

630,000

2024

3.125 BTC

840,000

なぜビットコインには供給上限があるのか?

ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトは、インフレが起きない仮想通貨を実現するため、2008年にビットコインの総供給上限を2100万枚に固定しました。ビットコインは通常の紙幣と同様に取引用途で利用されることを目的としているため、市場にビットコインが増えすぎるとBTC価格が乱高下するおそれがあります。

この問題に対処すべく、サトシ・ナカモトは2100万BTCの上限を設定して供給量をコントロールすることで、将来のビットコイン価格と変動を制御しようと考えました。

これを実現するために、すべての2100万枚のビットコインを一度にリリースするのではなく、ビットコインを徐々にリリースし、市場に混乱をきたさないという方法を採用しました。このような理由から、ビットコインのコードは2100万BTCの上限に達するまで毎年一定数のビットコインしかマイニングできないように設計されています。

新しいブロックがマイニングされてビットコインのブロックチェーンに追加されるたびに、新しいビットコインが流通します。ビットコインのマイニングは数学的アルゴリズムでプログラムされており、およそ10分ごとに新しいブロックが生成されるように設定されています(難易度調整)。この難易度は2,016ブロックごと(つまりおよそ2週間ごと)に更新され、マイナーの活動量の増減によって難易度が調整されます。このようなメカニズムによって各ブロックの生成時間(10分)がマイナーの活動量の増減に関わらず安定的に保たれます。

現在のビットコインの流通量は?

ビットコインのマイニングが終わる日が近づくにつれて、マイニングできるビットコインブロックの数は毎日減少しています。しかし、今までマイニングされたすべてのビットコインが市場に流通しているわけではありません。そのため、流通しているビットコインの供給量はさらに少ない数字となります。流通しているビットコインの供給量がすでにマイニングされたビットコインの総供給量と相関しない理由は複数あります。

主な理由の一つは、ビットコインの保管方法にあります。ビットコインをウォレットで保管している場合、パスワードを使用してビットコインを保護する必要があります。しかし、もしウォレットの保有者が他界した場合、ウォレットのパスワードを第三者に託していなければ、ウォレット内に保管されているビットコインを誰も取り出せなくなります。また、所有者が他界しなくても何らかのエラーによって永久的にウォレット内のビットコインにアクセスできなくなる可能性もあります。ビットコインは所有者の同意なしに取り出すことがほとんど不可能であるという点で、他の資産とは全く異なる性質を持っています。

ニューヨーク・タイムズ紙の最近の調査によると、ビットコインの20%近くがアクセスできないウォレットに閉じ込められており、その総額は約1400億ドルと推定されています。これらのビットコインはおそらく今後も永久的に閉じ込められたままとなり、ビットコインの循環供給量にも影響を与えると考えられます。

従って、ビットコインの実際の流通量を知るには循環供給量を確認する必要があります。この記事の執筆時点では、ウォレットに閉じ込められたままのビットコインを差し引くと、その流通量は約1,940万枚となります。

最終的な供給量

仮に閉じ込められたビットコインがなかったとしても、すべてのビットコインがマイニングされた後に供給上限である2,100万枚と一致することは理論上不可能です。これは、ビットコインの供給量が正確な数字で表現されることはなく、小数点以下を四捨五入して最も近い整数にすることが原因です。具体的には、6.2589 BTCは6 BTCとして表されます。

また、ビットコインはsatoshiと呼ばれる最小単位でも表記されます。「1 satoshi」は1 BTCの1億分の1です。このような最小単位と数字の四捨五入の処理のため、専門家らはビットコインの供給上限は2100万ではなく、20999999になると予想しています。

ビットコインの総供給量を増やすためのインセンティブ

ビットコインマイニングが人気な理由の一つとして、ビットコインのマイニングに成功したマイナーには多大なインセンティブが与えられる点が挙げられます。インセンティブはブロック報酬として支払われますが、その他にもブロックの完了に関連する取引手数料の一部がマイナーに支払われます。

過去3回の半減期を経て、現在のマイナーはブロックを確認するごとに6.25 BTCを受け取っています。マイニングの報酬そのものは減少していますが、ビットコインの価値が上がっているため、半減期の影響を相殺することが可能です。ビットコインが世界に普及するとともに、取引手数料も増加しました。ビットコインの取引手数料は今後も上昇すると予想されていますが、すべてのBTCのトランザクションをブロックチェーン上で実行する必要はありません。ライトニングネットワークのような追加レイヤーを使用すればビットコインをより安く、速く送金できるため、このような代替方法が今後も普及すると考えられます。

一部の専門家は、マイニングのインセンティブがなくなっても問題はないと述べています。なぜなら、現在のマイナーの収入のうち取引手数料が占める割合は6%しかありませんが、今後ビットコインのブロック報酬が減少するのに反比例して取引手数料は大幅に増加すると予想されるからです。それでも、多くの関係者にとって必ずしも満足できる答えではないでしょう。彼らは依然として、2100万 BTCすべてがマイニングされた後に何が起こるのか、それに対して何かできることがあるのかを知りたがっています。

ビットコインの供給上限を変更することは可能なのか?

ビットコインの基盤となるコードを変更することで、ビットコインの総供給量を変更することは理論的には可能です。ビットコイン自体がソフトウェアであるため、専門家らもこの意見に同意しています。しかし本当に変更するには、開発者、ステークホルダー、コミュニティ全体がコードを変更することに同意する必要があります。合意に達した場合、開発者らはその変更内容をビットコイン・コアに導入するコードを書くことになります。

その変更が適切に動作するためには、次のステップとして、ビットコインネットワーク上の全ノードがその変更を受け入れているか、あるいは強制的に除外されているかを確認する必要があります。しかし、ビットコインプラットフォームは基本的に変更を必要としない自己完結型のシステムとして設計されているため、すべてのノードに変更を受け入れてもらうことは容易ではありません。そのため、開発者はハードフォークを行う必要があります。ハードフォークとは、以前は無効だった動作を有効にするコンセンサスの変更を意味します。ハードフォークが成功すると、すべてのノードが提案された変更を受け入れるようにシステムがアップグレードされます。

また、一部の人が2100万BTCの上限の変更を受け入れないという状況も起こりえます。この場合、変更を受け入れないマイナーやノードは、既存のビットコインプラットフォーム上で引き続き活動を継続します。このような保守派は、新たなビットコインプラットフォームと市場を奪い合う可能性があります。このようなハードフォークは「論争的ハードフォーク」と呼ばれ、マイナーベースが分裂してそれぞれが異なるチェーンでマイニングを行うことになります。そのようなハードフォークから新たに誕生した暗号資産の例として、ビットコインキャッシュなどがあります。

ステークホルダーへの影響:2,100万ビットコインがすべてマイニングされたらどうなるのか? 

現時点では、全てのビットコインがマイニングされたときに具体的に何が起こるかを正確に予測することは誰にもできません。

一部のアナリストは、ブロック報酬がなくなることを補うために高い取引手数料を使用するようになるのではないかと予想しています。また、新しいテクノロジーの登場でマイニングコストが削減され、最終的にはマイナーの利益が増えるという予想もあります。別の仮説では、ビットコインプラットフォームが非常に高額な大口取引だけに使用され、十分な収益を生み出してステークホルダーを満足させるという見方もあり、さらに他の仮説ではプルーフ・オブ・ステーク(PoS)やマイニングカルテルなどが検討されています。

ステークホルダーは今後もこの問題について継続的に注視し、状況に応じて対応していく必要があります。

ビットコインマイナーへの影響は?

マイナーは、トランザクションを検証してビットコインネットワークに新しいブロックを追加する役割を担っています。マイニングをする際は複雑な計算を解く必要があるため、電力を大量に消費する計算能力の高い高額なASICコンピュータを利用する必要があります。

ビットワークのネットワークの維持に貢献するマイナーたちの労力とコストに報いるため、ブロック報酬とトランザクション手数料がマイナーに支払われます。

現在、多くのマイナーやマイニング企業がビットコインのブロック報酬システムを利用してマイニングのコストを相殺しつつ利益を上げています。しかしマイニング報酬が半減することで、あらかじめ定められた供給量に達する前に、ビットコインのマイニングコストがマイナーが得るビットコイン報酬を上回ると予想されます。

ただし、ビットコインの価格が時間の経過とともに上昇すれば、ビットコインのブロック報酬の減少を相殺できる可能性もあります。現在のところ、回帰モデルの予想では、ビットコインをマイニングする平均コストは約17,600ドルとされています。Antminer S19 XPを使用して最も効率的にマイニングを行う場合、ビットコインネットワークの難易度と電気のコストに応じて、7,700ドル~10,560ドルの間で採算が合うと予想されています。2016年~2018年頃に使用されていたマイニング装置ではもはや利益を出せず、2019年~2020年に主流だったマイニング装置も利益を出せなくなってきています。

ビットコインの将来

2024年に迎えるビットコインの次の半減期では、より効率的なマイニング装置が開発されたり、より安価な電力源が見つかったりしない限り、採算ラインは現在の2倍になると予想されています。ビットコインの価格がこの水準に達するほど上昇しなかった場合、マイナーは採算が取れなくなってマイニングを停止し、それが引き金となって「死のスパイラル」が起きる可能性があると指摘されています。つまり、もしマイナーが大量にマイニングを止めてしまいハッシュパワーが大幅に減少した場合、十分な数のブロックがマイニングされず、その結果、マイニングの難易度が通常通り(2週間以内)に調整されない可能性が発生します。

そして一番の疑問点は、すべてのビットコインがマイニングされた場合、トランザクション処理の手数料はどうなるのか?という点です。理論的には、マイナーが十分なトランザクションを検証すれば、この取引手数料でブロック報酬の不足分を補うことができると予想されていますが、実際に手数料がどうなるかは今後のネットワークの状況に左右されるでしょう。

2,100万BTCという現在の上限から変更がない場合、考えられるシナリオとしては、高いトランザクション手数料と低い運用コストによってビットコインネットワークが維持され続けるか、あるいは石油産業やダイヤモンドの採掘業で行われているのと同じように、マイナーがビットコインの供給と需要をコントロールするためのカルテルが形成される可能性があります。

個人投資家とガチホ勢

一般的に、ビットコインのマイニングが限界に近づくにつれ、ビットコインの価値は上昇すると予想されています。ビットコインの人気が今後も継続すると仮定すると、ビットコインの供給量は限られ、人々はビットコインを取引に使用するよりも、資産価値を保持するための投資商品としてビットコインを使用する可能性が高まります。

ビットコインの過去の価格チャートもこの仮説の信憑性を裏付けています。なぜなら、これまでブロック報酬が減少しても、ビットコインの価値は一貫して上昇してきたからです。ガチホ勢や個人投資家は、ビットコインを手放すことなくウォレットにため込みます。このような行動によってビットコインの供給はさらに減少し、資産価値は高値で維持されます。

将来、世界中でさまざまな危機が発生するたびに、世界中の中央銀行はそれに対抗するために紙幣を増刷する可能性がありますが、このような行為は通貨の価値を下げることにつながります。このように特定の国の通貨が高インフレに陥った場合、その国の市民は自国の通貨よりもビットコインを選択する可能性があります。なぜならビットコインは供給量が限定されているインフレを起こさないデジタル通貨であり、誰からも制御されることがないからです。

機関投資家

昨今では、暗号資産分野に進出する企業が続々と増えています。テスラ、ブロック、モルガン・スタンレー、その他多くの大企業がすでに暗号資産分野に進出する長期計画を立てており、あのゴールドマン・サックスも暗号資産の購入を検討しています。暗号資産の人気がこのまま続けば、先行者利益を得ようとする機関投資家がさらに暗号資産市場に参入すると予想されます。

ChainalysisのチーフエコノミストであるPhilip Gradwell氏によると、機関投資家はビットコインをデジタルゴールドとみなして取り扱っています。ビットコインのマイニング上限、希少性、そして将来的な価格上昇の期待値により、機関投資家は暗号資産をインフレヘッジとして利用する可能性があります。これは過去に彼らが貴金属を利用した方法と同じです。

ガバナンス

ビットコインやその他の暗号資産は、世界中の政府にとって諸刃の剣のようなものです。多くの国ではビットコインを法定通貨とは認めていないものの、それが世界経済に及ぼす影響について注目しています。現時点ではエルサルバドルがビットコインを合法的に採用した最初の国ですが、今後さらに多くの国がビットコインを好意的に受け入れるか、あるいは合法的に通貨として採用する可能性があります。

一方で政府関係者たちは、ビットコインを全面的に受け入れるか全く受け入れないかという極端なアプローチよりも、中間的な立場を好むでしょう。例えば、ビットコインETFの承認などがその一例です。政府がビットコインを承認したとしても、その運用に関して厳しい規制を実施すると考えられます。今後の動向として、アメリカなどの各国政府はビットコインと競争するための自国版デジタル通貨(CBDCs)を作成する可能性が高いと考えられています。

おわりに

今後もビットコインの人気が維持し続ければ、全供給量のビットコインのマイニングが完了した後も、ビットコインの将来は明るいでしょう。ビットコインの全供給量がマイニングされたとしてもビットコインの需要が失われない限り、ビットコインは永久不滅です。そしてビットコインは世界経済の変化に適応し続けることで、安定した未来を実現できるはずです。

#Bybit #TheCryptoArk